大工さんがすべての道具を持って引き揚げた翌日、私は消費者センターに紹介された県管轄の相談窓口に話を聞きに行きました。消費者センターと同様、法的なことは分からないとのことでしたが、こちらの話を親身に聞いて同情し、一生懸命励ましてくださいました。
その時すごく遠回しに言われたのが、既に払い込んだ契約金を取り戻すのは難しいだろうということでした。当初私は、こんな形で一方的に工事を放棄されたのだから、支払い済みの契約金は返してもらって然るべきだと考えていました。ところが実際には、こういうケースにおいては支払った金額は戻らないことの方が多いらしいのです。話を聞いてくださった方は、「諦め」も前へ進むためのひとつの手段だとおっしゃいました。また、今回のような被害を受けて体を壊してしまう人も多いので、なるだけ他のことを考えてできるだけ気に病まないようにと一生懸命励ましてくださいました。
このアドバイスには後々助けられることになりました。払い込んだお金はなかなか戻ってこない。これは事実のようですね。この後私は弁護士さんを含めいろんな人に相談しましたが、同じことを言われました。私にとっては払い込んだ契約金もその後の物質的、精神的な負担も大変大きいので、気持ちの上ではこちらが損害賠償を請求したいくらいですが、そんな風に事は運ばないようです。この時のアドバイスは、その後自分の置かれた状況を受け入れていく過程において、クッションの役割を果たしてくれました。
こちらに寄り添って話を聞いて、一生懸命励ましてくださった相談窓口の方には、心から感謝しています。
