業者さんのショールームを見学した後、私はその業者さんが使っている海外製の断熱材についての情報収集をしました。その断熱材は日本の輸入販売会社が商品名を変えて販売しているため、日本語の商品名で検索しても情報はほぼゼロでした。幸い、ショールームに置いてあった断熱材の外袋に元の商品名が書いてあったのでその名前で検索してみると、製造販売元のウェブサイトに英語版のページがあり、そこに詳しい商品説明がありました。
ふむふむ、どうやら断熱材としてはかなり良さそう。気になる防音性能ですが、そのウェブサイトには遮音性が高いとは書いてあるものの、はっきりした数字は出ていませんでした。ただ、Youtube上に個人がこの製品とロックウール、グラスウールを比べた遮音性能の実験をしている動画があり、まあそれほど精密な実験ではないにしろ、防音性能は見込めるのではないかと判断しました。
我が家のリビングルームはキッチン部分を除いて23畳。そこに所謂「本格的な防音室」仕様の施工をするのは、予算的に到底無理なことが分かっていたので、壁のなかに入れる断熱材の性能に期待するしかない。そんな気持ちでした。
それでも何とも説明のつかない不安感が拭いきれず、私は社長さんに何度か電話をして防音の効果や施工法について確認をしました。話を重ねるうちに、最初の現地調査では55デシベルくらいになる、と言っていたのが、60くらいになるかもしれない、となり、私が「何デシベル減になるんですか?」と尋ねると、これは簡易防音工事なのでそういう数値は出せない、とだんだん話が変わってきてしまいました。最後には、「これは防音工事ではありませんので」と。
また、ちょうどこの時期、私はあるガラス屋さんとも連絡をとって現地調査をしてもらっていました。そして、このガラス屋さんから社長さんに直接電話をしてもらったことがありました。ガラス屋さんによると、直接やり取りしたほうが間違いがないだろうとのことで。その後、社長さんから電話がかかってきました。ガラス屋さんが、お隣に近い側の壁から音がかなり漏れているので、そこは石膏ボードを2枚にしたほうがいいかもしれない。社長さん自身はこないだそこでは測ってないが、ガラス屋さんが言っているので間違いないと思う、とのこと。ん?
さすがに不安になった私は夫に他の業者さんにも見積もりをとってもらったほうがいいのではないかと相談してみました。すると夫は「え、これから?」と呆れ顔。確かに引っ越してから既に1カ月以上が経っており、私も少しでも早くピアノを弾き始めないとまずいという気持ちがあったので、「そうよね」と簡単に納得してしまいました。
契約に踏み切る前、私は再度社長さんに電話をして、断熱材の詰め方について確認をしました。社長さんの話では、断熱材は壁の厚さとちょうど同じくらいで、そのままスポッと入るとのことでした。ですが、もし断熱材の厚みよりも壁のほうが厚かった場合、壁のなかに隙間が空いてしまい、それでは防音効果が落ちてしまいます。そこで、それについて確認をしました。そうすると、「○○(断熱材の商品名)は切ったりちぎったりできるので、壁の中はぎゅーぎゅーに詰めます。」と言われました。
とにかく早く工事を終えたい一心で、いつから工事が始められるかと尋ねると、1週間後あたりから可能だとのこと。他の業者さんにこれから調査に来てもらったら、工事完了がどんどん伸びてしまう。ここに頼めば来週から工事に入ってもらえる・・・。でもどうしても拭い去れない心のなかのもやもや感。
夫と再度相談すると、たとえ業者さんに対しての不安があったとしても、使う材料に関しては自分たちで情報収集をして納得しているのだから、その材料を使って施工してもらえるのであれば、それが自分たちにできる最大限の防音対策だろうという答えが返ってきました。なるほどと、ここでまた納得。
そうして、私は半ばエイヤッと高いところから無造作に飛び降りるくらいの気持ちで契約に進むための電話をしたのでした。
あーあ。何か契約を結ぶときには、不安が解決してからにすべきですね。